最近周りでやたら低バネレートセッティングを推す人を見かけたんですが、ちょっと待ってそれちゃんと考えてます?
大会上位陣が低バネレートだから低バネレートっていいんだ!真似すりゃ勝てる!みたいな思考でただ低バネレートすると、かえってパフォーマンスを落としかねない事態になります。
ここでは自分の経験もふまえ、ドリ車におけるバネレートの考え方を書いてみることにしました。異論はみとめます!
グリップはわかりません!
- 高レートスプリングを使った場合の傾向
- 低レートスプリングを使った場合の傾向
- ランカードリフトドライバー(エキスパ以上~)の嗜好
- 疑似バリアブルバネレート
- 誰しもが低バネレートが正解になるわけじゃない
- 低バネレートセッティングのポイントは・・・
まずは高バネレートを使った場合と、低バネレートを使った場合の傾向をまとめてみます。
高レートスプリングを使った場合の傾向
- (バネをちゃんとたためた場合)支えられる耐荷重が大きので、トラクションもその分出やすくなる(タイヤのキャパにもよる)ストロークして荷重を支えるまでが早いので当然レスポンスもよくなる
- ショートストロークでもトラクションを確保しやすい
- 悪路の場合バネをたたむことができなくなることがある→トラクションがかからなくなる+加速姿勢をつくれない(リアが浮き気味になる)
- 接地性能的に路面を選び、跳ねるコースもある
- リバウンドストロークが少なめになるので、ヘルパースプリング等でリバウンドストロークを補っていないと振り出しor振りっ返しでリヤがすっ飛ぶ傾向になる
低レートスプリングを使った場合の傾向
- バネがたたみやすいので姿勢をつくりやすい→リア沈みの加速姿勢をキープしやすい
- 荷重を支えるまでのストロークが長いのでレスポンスはよく言えばマイルド、悪く言うとだるくなる
- プリロードを管理しないとリバウンドストロークが増えすぎる上に、ストロークしやすいからストローク不足になりがち→バンプタッチしやすい
- 伸びが多めの傾向になるので振り出し、振り返しで引っかかり気味になったりすることがある
また、ドリフトはエキスパート以上になると追走をこなす必要がでてきます。
自分と同じくらいのペースで走れる車ばかりなであればさして問題はおきませんが、大会になると自分より遅い車、区間的に詰まる相手がいて速度調整が必要になるシチュエーションがでてきます。
調整といってもドリフト中にブレーキ踏んだり(踏んだりもしますが)したら姿勢が乱れて再加速しづらくなるので、減速というか、待ちができる車を作らなければなりません。
そんな追走能力を必要とされるランカードライバーが欲しがりそうな特性は以下の様になると思います。
ランカードリフトドライバー(エキスパ以上~)の嗜好
- 空転しつつタイヤを食わせる足がほしい
- 追走ありきなので常に加速姿勢をキープしたい(アクセルを任意のタイミングで入れられる状態でありたい)
- 待機中に路面が変わることもよくあるけど、どんな時でも姿勢づくりだけはしたい
- 先行用に速くも走りたい
- 後追い用にアクセルを戻さないでも速く走らない部分が欲しい
疑似バリアブルバネレート
ではランカードライバーはそれを実現させるためになぜ低バネレートになるのか?という話ですが、
彼らは(おそらくきっと)メインスプリングの他にバンプラバーを吟味してバリアブルバネレートでダンパーストロークを使っていると思われます。
沈み込みやすいエリアは低バネレートのメインスプリング(姿勢作り)
途中からバンプタッチさせ始めて実スプリングレートを上げていく→トラクションを出す領域
バンプラバーの変形量が大きくなって実バネレートが急激に立ち上がる領域→アクセルを踏み込んでも空転するだけ
という特性をつくって、多少雨が降っても、対戦相手が自分より遅くても、自分がハイパワーかつハイグリップなタイヤを履いて絶対的なスピードさえ持っていれば後は腕の勝負になれるような足回りを作っている・・・はずです。
すこし極端かもしれませんが、イメージとしてはこんな感じです。
初期の領域は姿勢つくりをしたい部分
中間は空転させながら前に進める領域
オレンジライン以降は追走時に自分より遅い車に合わせるための空転しながら待つ領域
エキスパートクラス以上の車には無駄かきする領域が絶対にあるはずです。実際にはこの領域をもたない車両も中にはあるでしょう。AE86のような車種はあまりなさそうですね。
誰しもが低バネレートが正解になるわけじゃない
ここで冒頭の話に戻りますが、自分より遅い車がいなそうな環境だったり、追走をしないような環境の車が低バネレート仕様をしたとすると・・・
走りやすくはなるかもしれないけど、無駄かきする領域がある分、絶対的なドリフトスピードは落ちるから早い車にはさらに離される、低バネレートの影響で振り返しはだるくなる、といいことよりもデメリットの方が目立ったりします。
仕様変更自体もバネを買ったりしなきゃなのでタダではありません。
低バネレートセッティングのポイントは・・・
筆者もハイレート+ヘルパースプリングの構成や、今回話題にあげた低バネレートスプリングの構成も色々ためしましたが、低バネレートスプリングのセッティングのポイントはプリロードとバンプラバーです。
もともと6kのスプリングが入っていた車高調にプリロードもかけず、バンプラバーも吟味しないでただ4kのスプリングに交換しましたというパターンの組み方ではまずうまくいっていません。
早々にバンプタッチしてなぜだかしらないけどものすごくアクセルが踏めていて以前よりも速く走れている気がする車高調になっているだけです。
低レート化した場合には必ずプリロード調整とバンプラバーの吟味をしてください。
それができれば低レート化の恩恵を確実に受けることが出来ると思います。
やや口が悪くなってしまいますが、ドリフト界隈にはなぜかゼロプリ信仰みたいなものがあるのですが、プリロードは適切に調整すれば決して悪ではありません。
また、ここまでの書き方でバンプタッチが悪のように感じられているかもしれませんが、バンプタッチもまた悪とは言い切れません。
極端な話、最近の車の純正脚は低バネレート+バンプラバーで成り立っています。
要は車高調の構成の考え方の違いだと思います。
バンプラバーをどう使いたいのか、メインの補助をするのか、ダンパーの保護をするのか・・・
そのあたりを考えて、スプリングの低レート化を検討してみてください。
また、レート変更の理屈が分からない方向けに、耐荷重からスプリングを選定するセッティング法をまとめました。興味ある方はこちらもご覧ください
バンプラバーのセッティング記事も作成しましたのでこちらも参考にしてみてください。
記事内ではD-MAX製のバンプラバーを使用しています。