先日作った3つ目のオフセットメンバーですが、他人に渡す事前提で作るとしたらどうなるか?をコンセプトに、自分なりに色々かんがえながら作った部分があるので今回はその説明です。
※大分長いです。
オフセット量
ラックの前出し量は15mmとしました。ギアボックスがメインフレームにギリギリ当たらないくらいまで攻めると大体15mmで、メインフレームに手を入れなくてもいいので 比較的加工難易度が低めで、見た目の仕上がりもいいので15mmとしました。
外観
外観は純正風となる様にグラインダーで剥がした外板を切削して再使用しました。
メンバーの材料となっているのはおそらくSM材という鉄板なんですが、なかなかお手軽に手に入る材料ではないというのと、鉄板からギアボックスが逃げるようにプレス加工をするとなると工数がかさんで原価が上がるので、元の外板をなるべく自然な形になる様に付けなおす事にしました。
3Dな形状なので型紙の様なものを作ることもできず、上図の様に毎回仮合わせを繰り返しながら外板を切削していって落ち着くところを探すといった手法をとっているため、時間がかかるのとその時の手加減で毎回この辺りの雰囲気がかわります。(形が一定ではない)
また、外板の溶接についてはTig溶接を用いました。
僕がアーク溶接がとても苦手で、できるだけ他人様に渡せるようなビジュアルを確保するためです。
溶接品質を確保するために各部品ともショットブラストにて塗膜を剥がして溶接しています。
補強
純正状態よりも強くする、というよりも、分解してしまったがために落ちてしまった強度を補填するという意味合いで補強をいれてあります。
外板は接合面のほぼ全面を溶接でつなぎました。
また、自分の溶接が信用性に欠けるのでメインフレーム内部にも補強をいれました。
母材におそらく近しいSS400材の丸棒を曲げ
オレンジ線の様に配置し、☆の位置で溶接止めしました。
ロアアームからの入力がステアリングラック、フレームの順に伝わるようなつなぎ方にしました。
ボディとロアアーム間も別の棒でつなぎ、補強をいれました。
なぜ軽量なパイプではなくてわざわざ丸棒なのか?と思われるかもしれませんが、
ただ単に自分の溶接が下手で、パイプで溶かし込みをうまくやろうとすると穴をあけてしまうからです。
反対側の丸部分も追加の溶接をいれておきました。
おまけ程度ですが、ギアボックス取り付け部の土台もネジ部の付け根で溶接しました。
もちろん純正位置で溶接されていた部分でも溶接はしてあります。
純正状態ではここは溶接止めされておらず、ステアフィール悪化の原因となっているようです。
STIからロングボルトが販売されていたりしますが、こうしておけば純正ボルトでも十分になると思います。
欠点
Tigまで持ち出したにもかかわらずあまり溶接面がきれいではありません。
こればっかりは作業者のレベルの問題なのでいかんともしがたいです。今後マシになってくれればいいですが・・・
オフセットさせた分、取り付けネジ部が前側に突き出してしまうため、最後にグラインダーで削り取ってしまうんですが、切削して外し→溶接→はみ出た部分を切削という工程上で穴にゆがみが出てしまうことがあって、加工後はSTIのロングボルトが使えなくなります。
こういった問題があって取り付け部周りの補強を意識して行ったというところがあります。
もともとついてあった外板をグラインダーで剥がす以上、切削痕がメンバーに残ってしまいます。
これをごまかそうとしてメンバーを削ると板厚を薄くしてしまって強度不足に繋がってしまうので、少しでも強度を確保するために切削痕はそのままです。
まとめ
以上加工メンバーの詳細内容でした。
現状で海外製のアングルキットを使っている方で、オフセットアダプターを使いたくないという理由で製作のオファーをいただいていたりするのですが、個人的には大々的に市販する予定はありません。
・・・が、どうしても困っていたりするのであればご相談には乗ろうかとも考えていますので、お悩みの方がいましたらTwitterからでもご連絡ください。
最後に仕上がり状態を撮ったスライドショーを置いておきます。自分が作るとこの程度のクオリティです。