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整備士くずれの日々徒然

HKSの車高調を解く【スプリングレートと減衰力】

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https://www.hks-power.co.jp



最近86BRZユーザーの乗り換え期なのか、某オークション等々でHKSの車高調をめっちゃ見るので、HKSの車高調ってどうなの?っていうところを数値上で自分なりに追い込んでみました。

正直身内の評価も賛否両論です。SNSとかでも賛否両論みたいですね。

 

HKSは車種別のページでダンパーストロークと減衰力の一部を明記してくれてるので、それをもとにどんな車高調なのか解いてみたいと思います。

だいぶ長くなってしまったので、一応計算と考察で見出しつくっておきました。

 

 

 

 

計算

現在86BRZ用のHIPERMAXシリーズの車高調はGT,SP、spec-A、20SPECとありますが、今回は昔からあるGTのカタログ値を参考にしたいと思います。

www.hks-power.co.jp

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商品ページからスペック表の一部を切り抜きさせてもらいました。

まずはスプリングレートとダンパースロトークから耐荷重を計算します。

フロント・・・6kg/mm×46mm=276kg

リヤ・・・4kg/mm×47mm=188kg

自分のBRZは大体フロントバネ上輪荷重300㎏、リヤ200㎏なのでGに換算するとそれぞれフロントは0.92G、リヤ0.94Gという結果になります。

グリップだと国際サーキットとかになるとちょっと耐荷重足りないかも?ドリフトだと全然大丈夫だと思います。500馬力出してタイヤ265とかのドリ車はまた別の話になりそうですが。

スプリングレート自体は比較的おとなしめのレートなのでリバウンドスロトークはたっぷりあるし、街乗りは調子よさそうです。リヤのリバウンドもあるのでドリフト時のすっぽ抜けも比較的少なさそう。

さらにリヤにはヘルパースプリングが密着状態でくみこまれているので、ヘルパーをほどいていけば意図的にトラクションを抜くセッティングも作れそうです。ドリフト以外に使い道はなさそうではありますが・・・・

使用変更でリヤのレートを上げた際にはリバウンド量確保として活躍してくれるでしょう。

 

 

続いて減衰力です。

減衰力に関しては以下の記事を参考にしました。

www.autoexe.co.jp

a011w.broada.jp

計算があってなかなか難し気な内容ですが、減衰比というものに着目してHKSの車高調の場合を考えてみます。

 

まずはフロント。

kg表記とmm表記を直しながら必要な数値をまとめます。

・Fバネ上重量(左右分)600kg=5880N

・車高調のスプリングレート(左右分)6+6=12kg/mm=117600N/m

上二つの数値からHKSが公表しているダンパースペックの0.1m/sec時の臨界減衰力を計算します。

臨界減衰力Cc=0.1×2√5880×117600≒5259(左右、伸縮合算分)

フロントの減衰比C/Cc=(900+300)×2/5259≒0.46

 

続いてリヤ。

・Rバネ上重量(左右分)400kg=3920N

・車高調のスプリングレート(左右分)4+4=8kg/mm=78400N/m

0.1m/sec時の臨界減衰力Cc=0.1×2√3920×78400≒3506(左右、伸縮合算分)

リヤの減衰比C/Cc=(720+150)×2/3506≒0.5

 

フロントが約0.46で、リヤが約0.5です。

※車重は自分が出したある程度の数値なので人によっては変わってくると思います。

 

参考にした資料によると一般的な自動車の減衰比が0.4くらいで、スポーツカーになると0.5くらいが良いとのことなので、なかなかいい数字が出ているように見えます。

自分の重量だとフロントだけもう少し減衰力が強くてもいいかな?という結果がでました。

 

で、大事なのはこの減衰力が調整ダイヤルのどこで出ているかという事です。

ダイヤルMAXで出ているのであればリヤはMAXで使えばいいのですが、フロントはちょっと足りません。

こればっかりはHKSさんに直接きいてみるしかなかったので、平日時間が出来た時に恐縮ながら問い合わせをさせてもらいました。

快く答えていただいて、カタログの減衰力表記は出荷ダイヤル位置の減衰力との事です

 

なのでリヤは出荷時のダイヤルのまま15段、フロントは気持ちダイヤルを締めこんでいけば減衰比0.5に近い部分が見つかりそうですね。

ただし、あくまで0.1m/sec時の減衰力の話なのでこれより低速や高速側はどうなっているかはわかりません。

 

 

考察

もし本当に記載通りの減衰力がでているのであれば、自分が計算で出した分には耐荷重も足りてるし、減衰力も良いとこでている様な結果でした。

 

しかし実際のレビューが絶賛されないのはなぜなのか?

個人的に思うに、良くも悪くも純正+αの品物におちついてるからかなと思います。

スプリングレートもそこまで派手目ではないので、耐荷重は足りてても荷重を支えるのに動きが大きくなる必要があったり、走るコースによっては微妙に耐荷重が足りないシチュエーションがでてきそうです。

コーナーが連続する場所だと動きが大きくレスポンスに欠ける→迫りくるコーナーに対して姿勢作りがどんどん間に合わなくなっていく→乗りづらく感じる

もしくは

大きいRのコーナーで旋回速度が上がる→耐荷重が足りなくなってバンプタッチが起きる→急なスプリングレート上昇でタイヤが負ける→グリップが抜ける

の2パターンですかね。

このあたりが気になって試しに減衰を締めていったりしても、多少フィーリングは変われどストロークスピードを規制していくだけでもともとの耐荷重キャパはかわらないので、車高調の良い塩梅のところからどんどん離れていってイマイチな感じになっていってしまうのがサーキットを走ってる層から評価されない理由なのかなと思います。

レスポンスが欲しいならスプリングレートを上げるべきだし、耐荷重が足りてないならこれもスプリングレートを上げるか、リバウンドストロークが不足しない程度にプリロードをかけたり、バンプラバーを切るなりしてバンプストロークを増やして荷重容量を増やさなければなりません。減衰調整では解決しないでしょう。

また別角度の話でいうと、ストロークさせてなんぼの足なのに、車高調になってしまっている為に車高の下げすぎで脚が動かなくなっちやっててイマイチって評価になっている…のかも?

ドシャコタンにしたいって人には向かない車高調かなと思います。

本気でサーキットでタイム出したいっていう人向けでもないですね。

じゃあだれが工場出荷時のまま使えるのか?・・・ツルシのまま使える人は、車高もほどほどで良いし、走りもほどほどで良いよって人ですかね。

車高調入れる人は大体車高下げたくて入れるのでこれもなかなかいなさそうですね・・・

そしてGTをツルシで使える人は別モデルのSpec-Aか20SPECを使った方がいいと思います・・・

耐久面としてはフロントのピロが弱そうなのと、バンプラバーもボロボロになったり、ショック自体から音でたり、ダストブーツもボロボロになりがちみたいなのでそこらへんは注意が必要そうです。中古なら程度良さそうなのがねらい目ですね。

なんかあんまりいいとこないじゃんGT・・・って感じになってきましたが、寸法もろもろは良いところでている(と思っている)ので、リセッティングベースとしてはアリかなと思っています。

自分が使うとすればリヤはそのままでいいのですがフロントはスタビレスになっているのでもっとレート上げて使いたいですね。

 

新モデルが出た影響でGTの新品はセールかかってたりするし、最初に書いた通り最近はGTの中古品が多く出回ってるので、これから車高調の導入を考えている方は好条件の物があれば検討してみてはいかがでしょうか。

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