YouTubeやブログ、SNSなどでアセットコルサの関連の投稿をしたところ、MODの切れ角調整についての問い合わせをよく受けるようになりました。
都度事細かに説明していると、自分の時間をなかなかに持っていかれてしまうので個別返答はしません!とお返事しているのですが、困っているのに放置というのもよろしくないなぁということで切れ角調整に関しての記事を書くことにしました。
アセットコルサでの切れ角調整の方法は主に3つです。
各項目ごとに書いていきますが、ある程度の自動車の知識が必要になります。
専門的用語も多数含まれますが、逐一説明はしないのでわからない単語は各自で勉強して下さい。
ステアリング舵角を増やす
実車で言うところの切れ角アップワッシャーやラックの歯増しと同じ効果になります。
車両データファイルのdataフォルダ、car.iniファイル内の[CONTROLS]にあるSTEER_LOCK項目でステアリングのロックトゥロック値を調整します。
数値が増えるほど(ゲーム上の)ステアリングが回る量が増えます…が、1800(5回転)とかにしてもカウンターが間に合わないので、リアル準拠の数値を入れたほうがいいと思います。
ステアレシオを変える
実車でいうところの他車種のギヤボックスや別グレードのギヤボックスを流用して、ラックのギヤ比を変更する効果と同じになります。
ステアリング舵角を増やした時と同じ場所のひとつ下にある、STEER_RATIOの値を調整します。
数値が低いほどクイックステアになり、少ない舵角でラックが大きく移動します。
このあたりも個人的には実在する数値でいいかなと思ってますし、自分は実車の数値を入れる事が多いです。
タイロッドとタイロッドエンド位置を調整する
実車でいうところのナックル交換やラックの前出しと同じ効果になります。
コンテンツマネージャーのカスタムショールームでサスペンションアームの位置関係を確認しながら調整します。
画像の水色線がタイロッドにあたる部分です。
切れ角調整は主にこの部分の値を調整します。
また、キャスターやロアアームの位置や長さを調整する予定がある場合は先に調整しておきます。
実車でもそうですが、キャスターやロアアームボールジョイントの位置が変わると、ナックルの旋回軸とタイロッドエンドの相対的な位置関係が変わって切れ角もかわるので注意が必要です。
切れ角とアッカーマンの関係に関しては検索かけたり色々調べてもよくわからない…という人がでてきそうなのでざっくり説明すると、
タイロッドエンド位置を…
ナックル旋回軸に近づける→切れ角が増える
車体外側にずらす→車体外向けの切れ角が減り、内向きの切れ角が増えてアッカーマン(左右輪の切れ角)が揃う
以上です。
逆にすると逆の効果になります。
また、タイロッドの位置がタイロッドエンドの位置と車両前後方向に真っ直ぐに近くなればなるほどアッカーマンは揃う方向になります。
ラック前出しの理屈ですね。
MAX切れ角をイメージしつつ、アライメントも加味してアッカーマンが終始揃わないのか、フルカウンターだけ揃えるのか、むしろ内切れが追い越すのか、作りたい特性になる様に数値を調整してはコースインして切れ角をチェックします。
これを納得がいくまで繰り返します。
うまいことバランスがとれれば切れ角の調整は完了です。
慣れれば30分くらいで良いところ出せる様になるので、まずはデータをさわってみましょう。
おわりに
切れ角を調整するにあたって、考え方は実車とほぼ一緒だと思います。
タイヤ干渉や逆関節、ピロアッパーが折れたりブレーキホースが切れたり、アッカーマン追い込んでいったらブレーキローターが邪魔…などの制限がない分、シムの方が設計は楽です。
リンクの兼ね合いを詰めていくと90度近い切れ角も可能ですが、個人的には現実的な切れ角にするのが好きかな…と思っています。
この記事がデータ作りの一助になれば幸いです。